09年6月議会反対討論

09年6月議会反対討論

23日議会本会議で、伊藤いく子議員が地方税法の一部改正において、株の売買益に対する個人住民税の課税について反対討論をしました。

また、角谷敏男議員がポートピア誘致反対の請願に賛成する討論をおこないました。共産党3名に加え5名の議員が賛成しましたが、少数で否決されました。

以下、討論の内容を紹介します。

伊藤いく子議員の反対討論

私は、日本共産党市議団を代表して、議案第99号 専決処分事項の報告及び承認について、反対の討論をおこないます。

上場株式等の配当・譲渡益は本則税率20%のところを、03年から税率10%に軽減されています。昨年の改定では「大資産家優遇」との批判や、政府税制調査会の「廃止し、わかりやすい制度にすべき」との指摘もあり、08年度末でいったん廃止し、改めて経過措置として、09年・10年の2年間、500万円以下の譲渡益、100万円以下の配当について、税率10%の特例が設けられました。そして、11年1月からは20%の本則に戻すとされていました。

ところが、今回の改定は、この特例措置をなくし、軽減税率10%を復活させ、09年1月から11年12月までの3年間軽減を延長するものです。これは、一部の資産家に莫大な恩恵を与え、格差を一層拡大させるものであり認められません。

以上、反対の理由を述べ、討論を終わります。

角谷敏男議員の反対討論

私は、請願1号「場外船券売り場誘致に反対する請願」に賛成し、討論をおこないます。

先ほど、委員長が委員会の審査報告と村口議員の質疑がありましたが、これまでの委員会の審議・調査について、納得できないのであります。

一つは、地元の陳情には、計画の同意をもとめる理由として、「雇用の確保、地域経済の発展、ひいては鳥取市全体の活性化につながるもの」としていますが、具体的には何も明らかにされていません。また、松江市の場合は周辺に同様な施設が設置されたことなどもあって、警備員が設立当初と比較し半数になったり、売り上げが大幅に減少し環境協力費も引き下げとなっています。鳥取でも近くに場外馬券売場の計画が決定し、想定どおりにいくとはかぎりません。

もう一つは、周辺の交通渋滞などの環境対策や防犯対策です。ボートピアを視察した感想として、予想外によかったとの評価です。委員会は事業者から説明を受けていますが、きびしい国の設置基準を守り、許可条件をクリアーするのは、施行者・設置者の法令順守は当然であり、これが計画推進を支持する理由になるのでしょうか。

もっと審議・調査すべきことは、市民生活に深く関わるギャンブル依存症です。本会議の質問でしましが、この病気は多重債務などの借金を肉親が百万円単位で肩代わりし、この病気は顕在化しにくいのが特徴と言われています。

今回の競艇について、「パチンコより掛け金が少ない」とか、「パチンコが認められているのに、反対はおかしい」という意見があります。しかし、精神科医はパチンコには規制がなく野放し状態がために、依存症の多さと再発しやすいこと、うつ病などとの併発を指摘しています。

市当局は、視察した先で、ギャブル依存症が広がっていることを伺わなかった、本市の多重債務の相談なかでのギャンブル依存症は認められなかったと説明します。委員会でもそれを市当局に確認する質問がありましたが、市民の命と健康にかかわる問題を独自に調査しないまま、採決となりました。

先日、私が専門的な相談機関である県立精神保健福祉センターに直接照会した結果、19,20年度18人の該当者があったと回答がありました。しかし、この依存症がアルコール中毒と同様に当事者が認めない「否認する病気」であり、借金が片付けば相談に来られなくなるという実態があるように、潜在的には相当な該当者がいることは推測できます。市当局が行政視察先の実情を報告しただけで、病気の実態も把握せず、こうした施設に計画を承認することは、認められません。

市長は、地元の意向、市議会の審議結果を踏まえて、ギャンブル依存症の危険性の事実関係を踏まえて検討したいと答弁されました。ある精神科医は、この病気の共犯者としてローン、キャッシング、カードの普及で簡単に借金ができる環境要因の変化をあげ、別の精神科医は、「依存症の理解と対策は貧困極まりない段階にとどまっている。・・それが社会的な啓蒙もないために、精神医学も医療もとりくみが弱くなって・・、これが社会への提言ができない悪循環である」と指摘しています。こうした専門家の指摘を含めて、市長がいわれる市民生活を守る意味の重さが問われているとっても過言ではありません。いま、多重債務や借金、生活苦の市民を支援する鳥取市が、市民生活を守るというなら、計画には同意しないことです。

最後になりましたが、一言付言します。

私はこの施設に保護者といっしょに子どもたちが来るかもしないとして、子供たちへの影響を質問し、教育長は「それは大人の問題」と答弁されました。それは、たしかに大人の問題です。もっと問題なのは、今日経済社会と国民生活を守るルールがなくなっていることです。

経済活動も規制緩和を理由に、あらゆる分野で競争確保と自己責任を求める政策がすすめられ、その結果ますます職場・地域で人間的な連帯感が薄れ、社会的に経済的にも力のない大人が希望を失い、経済的な困窮の進行、離婚などの家庭崩壊、うつ病などの精神疾患と自殺者の増大など、市民の願いとは逆に人間らしく生きられない姿が広がっています。

この請願は、「町づくりや子ども達の健全に成長していくための環境づくり」という視点で、ボートピア設置反対をもとめています。これは、地元が合意しているから、やむ得ないとはいえません。

大人が労働とその対価として受け取るものを大切にし、子どもたちを育てる環境・社会をつくること、人間らしい文化的な生活を保障するまちづくりを自治体にもとめています。

精神科医がギャンブルをはじめとする多額の借金や経済的困窮、両親のいさかい、時には暴力のある家庭のなかで、力のない子どもにとってどんなに辛く耐えがたく、悲しく希望がみえないことなのか、と子ども達に思いを寄せています。視察した市ではボートピアの売り上げの一部を子育て支援にあてて、何の意味があるでしょう、これは欺瞞の対策です。

私もこのような生活の経験者の一人として、そしていま市民の深刻な暮らしの相談を受け取る者として、教育と市民生活のうえで多重債務者の拡大、依存症になる保護者・大人の被害者をつくらないためにも、この請願の採択に対する議員各位の賛同を心からお願いして、私の討論を終わります。

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